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ON PAPER 紙にとどまるもの

2023年7月18日[火]—7月29日[土]
11:00ー17:00 ※7/23はOCのため10:00開館
会期中無休 

Design:寺田 駿志

展覧会概要

Works on paper」は、紙を支持体とするあらゆる芸術作品を含む広義の用語として使われています。ドローイング、絵画、版画、写真、コラージュ、オブジェ、彫刻など、展示される作品はすべて何らかの形で紙を使用しています。たとえば版画の特質には、間接性と複数性があります。間接性は版を介し、ある面から別の面にイメージを転写させるという版画固有の工程があり、その工程を経ることによってしか出来ない表現が可能になります。複数性は、オリジナルとコピー(原型と複製)という価値観から離れ、一つの版、一つのネガから複数生産されます。また、ドローイング、水彩画、コラージュ、モノタイプなどの作品は、一点ものであり独自なものです。私たちの身近な素材である紙を、アーティストたちは様々な方法で活用し、スケッチやコラージュとして作品を制作することがあります。
 
 紙は平面であっても、単に下地として機能するだけでなく、質感や彫刻的な次元を加えることで表現の幅が広がります。また、紙の上で繰り広げられるトライ&エラーの過程を意識することで、新しい視覚効果が生まれてきます。 現代の作家は、素材、手法、コンセプト、主題をダイナミックに組み合わせて表現しています。さらに技法や手業だけでなく、積極的にITスキルを活用して既成の境界線に挑戦し続ける場合もあります。紙の作品のなかに込めた思考や痕跡は、たとえ時が過ぎても新しい解釈を生み出し、その感性はいつまでも紙にとどまっています。
 
 
 本展では、 戦後の美術運動の一つであったデモクラート美術家協会の周辺や京都市立芸術大学版画研究室と繋がりのある作家の作品を展示します。また、私の個人コレクションの中心となっている 70 年代 、80 年代以降のポストモダンの文脈に関する現代アートの版画に加え、ドローイングやオブジェなどを展示します。さらに、本学とゆかりのある作家からは 、独自な視点から紙を支持体とする作品を取り上げて、時代と共に変容する版表現と現代美術の動向が概観できる機会にします。同時に、版を使用せずデジタルイメージを直接様々なものに印刷する技法へと移行する時代において、視覚芸術を取り巻く環境の変化にも注目します。1960年代後半以降の「印刷とデザイン」や「アートの潮流」を出版物や雑誌のページをめくりながら手元で眺めることで感じて頂ければと思います。
 

 

長尾 浩幸 (成安造形大学教授)

 

 

 


 

ご来館のお客様へのお願い

来学時の事前予約は不要です。

マスク着用、手指消毒などは個人の判断にお任せします。

出展作家

レオノール・フィニ (銅版画、紙)
瑛九 (銅版画、紙)
泉茂 (リトグラフ、紙)
元永定正 (シルクスクリーン、紙)
ジョージ・シーガル (銅版画、紙)
パウル・ヴンダーリッヒ (リトグラフ、紙)
吉原英雄 (リトグラフ/ドローイング、紙)
靉嘔 (シルクスクリーン、紙)
舩井裕 (シルクスクリーン、紙)
ジャン・ミッシェル・フォロン (オフセット、紙)
ヤン・フォス (リトグラフ、紙)
井田照一 (銅版画、オブジェ、紙)
吉田克朗 (銅版画、紙)
今井祝雄 (モノタイプ、スプレー、紙)
折元立身 (オフセット、紙)
安東菜々 (シルクスクリーン、紙)
木村秀樹 (シルクスクリーン、オブジェ、紙)
田中孝 (シルクスクリーン、紙)
エンゾ・クッキ (オフセット、紙)
片山雅史 (ドローイング、紙)
キース・ヘリング (オフセット、紙)
吉原英里 (銅版画、紙)
君平 (ドローイング、紙)
馬場晋作 (ドローイング&オブジェ、紙)
高田学 (ドローイング、紙)
谷平博 (ドローイング、紙)
野田仁美 (ドローイング、紙)
藤井俊治 (ドローイング、紙)
若木くるみ (木版画、紙)
岩名泰岳 (ドローイング、紙)
他 順不同


参考作品



吉原英雄《「ミラー・オブ・ザ・ミラー ニューヨーク」より モーニング・コーヒー》
リトグラフ/紙/698×528mm/1972年



木村秀樹《 In the Shade of a Tree.》
シルクスクリーン/紙/560×760mm/1983年



君平《 熱のドローイング-地殻- 》
画用紙、クレヨンパステル/767×1085×300mm/2011年、2023年



高田学《 真昼の庭 》
日本画/雲肌麻紙、コンテ、墨/250×500mm/2023年



馬場晋作《 縁をツギつキテ纒ワルことノ事(/) 》
木枠、紙にインクジェットプリント、アクリル/830×605mm/2022年



藤井俊治《 世界が気づく輝き 》
紙に水彩、雲母、ラメ/420×760mm/2015年

展覧会詳細

ON PAPER 紙にとどまるもの

会 期|2023年7月18日[火]—7月29日[土]
時 間|11:00ー17:00 ※7/23はOCのため10:00開館
休 館|無休
会 場|成安造形大学【キャンパスが美術館】
  • 05ギャラリーウィンドウ
  • 06ギャラリーアートサイト
企 画|長尾 浩幸 (成安造形大学教授)
カタログ執筆|中谷 至宏 (成安造形大学教授)
出品作家|靉嘔、安東菜々、泉茂、井田照一、今井祝雄、岩名泰岳、パウル・ヴンダーリッヒ、瑛九、折元立身、片山雅史、川田英二、木村秀樹、木村利三郎、エンツォ・クッキ、黒田アキ、君平、児島サコ、ジョージ・シーガル、菅井汲、髙田学、田中孝、谷平博、野田仁美、馬場晋作、ヤン・フォス、ジャン・ミシェル・フォロン、藤井俊治、舩井裕、キース・ヘリング、元永定正、山本俊夫、山本容子、吉田克郎、吉原英里、吉原英雄、リチャード・リンドナー、レオノール・フィニ、若木くるみ ほか
助 成|成安造形大学特別研究助成
協 力 |成安造形大学 総合領域 美術領域 / 木村秀樹 / 吉原英里 / 阿部出版株式会社 / 株式会社河出書房新社
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