キャンパスが美術館

ARCHIVE展覧会アーカイブ

  1. HOME
  2. 展覧会アーカイブ
  3. 美術領域選抜個展シリーズvol.36 北野 青空 展

美術領域選抜個展シリーズvol.36
北野 青空 展

2020年10月2日[金]—10月15日[木]
12:00—18:00
土・日・祝 休館

展覧会概要

2020年 10月2日[金]—10月15日[金]まで『美術領域選抜個展シリーズvol.36 北野 青空 展 を開催いたします。

本展では美術領域内で選抜された学生による個展を開催いたします

美術領域選抜個展シリーズは領域内外で精力的に活動する学生を紹介する展覧会です。

vol.36となる今回の展覧会は、研究生の北野 青空が展示を行います。

 


 

本展示は日本画材を使用し、ストーリー仕立てで構成された絵画作品群です。
本学日本画の研究生である北野さんは、記憶の構築-解体-再構築を研究テーマの一つとし、絵画制作に取り組んでいます。
北野さんの描く画面には、面相筆で描かれる仏画のようなタッチや、ラファエル前派のような明暗の弱い明るい画面・鮮やかな色彩・細密描写の特色もみられ、森の風景や人物などモチーフは身近なものでありながら、どこか神聖なイメージを抱かせます。
平面に対で添えられているテキストは出品作品全体で一繋がりになっており、深い森の中で主人公である"彼"と、女性として描写される"あれ"が出会い、共に生き、別れを経験するという幻想的な物語です。

 

わたしたちが何かを見たり聞いたりするときには、そこに身体の記憶とでもいうべきものがそれを内側から編むというようなかたちで浸透してくるのであったが、しかしその記憶自体がある変形を被っているのであるから、何が原型かということはおそらく誰にも確定できることではない。「わたしが感覚する」のではなくて、わたしのなかでわたしを跨ぐようにして、感覚はいつもすでに世界の探究をはじめている。軋みや歪みが絶えず生じ、それを手なずけるのもまた感覚である。
鷲田清一 (2011).「感覚の幽い風景」中公文庫 103頁

 

記憶に関して哲学者の鷲田清一が記述したこのような一文があります。
北野さんは作品を制作する際、自身が今まで経験してきた記憶を頼りに物語を紡ぎ、それをもとに絵を描きます。
画面に現れている風景は北野さんがこれまでに見てきた景色であり、登場するキャラクターは北野さん自身の感情の動きを擬人化している、といいます。
これまでの経験、心の機敏をひとつの物語として画面上で整理することは、記憶という確定できることではない原型を辿り、軋みや歪みを手なづけるひとつの方法だといえます。
展示会場では、実物のドライフラワーが会場入口やフレームの淵などに展示されており、描かれた画面上の森の中から抜け出てきたかのような印象を抱かせます。
生花ではなくドライフラワーであることで、記憶がすでに過去であることのメタファーであるようにも見てとれます。
北野さんの描くストーリーは、今回出品されているものを起点として、過去・未来へ繋がっていきます。
私たちの記憶や感情の引き出しはいくつも存在するように、北野さんの織りなす世界もまた少しずつ広がってゆき、今後新たな側面を私たちに見せてくれることでしょう。

出展作家

北野 青空|Kitano Aozora

展覧会の様子

展覧会詳細

美術領域選抜個展シリーズvol.36 北野 青空 展

会 期|2020年10月2日[金]—10月15日[木]12:00—18:00
会 場|成安造形大学【キャンパスが美術館】
  • 07ギャラリーキューブ
主 催|成安造形大学 美術領域
PAGE TOP