戦前に済州島から海を渡ってきた祖父母を持つ金沢は、自分たちが育ってきた環境が「どちらでもない場所」だと気づくことから制作活動を始めている。それは、対立する国家や民族に翻弄される中で築いてきた自分たちの居場所であり、人間の複雑で多様な表情を金沢に見せてくれた場所でもあるという。本展で展示する《新聞紙のドローイング》は、鉛筆で紙面を塗り潰す作業を繰り返して制作されている。息継ぎするように白く残された余白は、数日後、数年後には消えてしまいそうな言葉やイメージに小さな光を当てるような作業なのかもしれない。
金沢 寿美 | KANAZAWA Sumi
1979 兵庫県生まれ、韓国籍。
2005 京都精華大学大学院芸術研究科修士課程修了。
|主な個展|
2023 「Erase and See」Daiwa Anglo-Japanese Foundation / イギリス
2021 「新聞紙のドローイング」現代芸術振興財団 / 東京
2018 「消して、みる。」遊工房アートスペース / 東京
2013 「Rose Line Project in ペンニョン島」遊工房アートスペース / 東京
2011 「38curtain」遊工房アートスペース / 東京 など
|主なグループ展|
2024 「越後妻有トリエンナー2024 枯木又プロジェクト」旧枯木又小学校 / 新潟
2023 「京都精華大学55周年記念展 FATHOM—塩田千春、金沢寿美、ソー・ソウエン 」京都精華大学ギャラリーTerra-S / 京都
2022 「地球がまわる音を聴く」森美術館 / 東京
2019 「Beyond The Sun」Icheon Art Platform / 韓国
2018 「トロールの森2018」善福寺公園 / 東京
2018 「Artists in FAS 2018」藤沢市アートスペース / 神奈川
2017 「影⇆光 第6回新鋭作家展」川口市立アートギャラリー・アトリア / 埼玉
2014 「東アジアの夢」Bank ART LifeⅣ (Bank ART Studio NYK / 神奈川
2013 「発信// 板橋//2013// ギャップ・ダイナミクス」板橋区立美術館 / 東京
2013 「ペンニョン島 525,600 時間のインタビュー展」ペンニョン島 / 韓国
2011 「新・港村」Bank ART LifeⅢ 新港ピア / 神奈川
2009 「在日フランス大使館-No Man's Land 展-」在日フランス大使館 / 東京
2008 「取手アートプロジェクト2008 取手井野団地 」井野団地 / 茨城
2004 「神戸アートアニュアル 2004 トナリノマド」神戸アートビレッジセンター / 兵庫
2002 「取手アートプロジェクト2002」取手市境界付近 / 茨城 など
参考作品
《 新聞紙のドローイング 》
《 Rose Line Project 》2013 , 2014 撮影 Abe Moemi