《Translation Zone》では、アーティスト自身が料理を行う映像に、アーティスト自身による日本語訛りの英語のナレーションが重ねられている。
このナレーションでは、分子調理学や人類学における文化の翻訳についてや、そうした文化の翻訳に伴う摩擦について、様々な言語で表される""炒飯""や機械翻訳に伴う脆弱性などを例に語られる。本作は、シンガポールにおける多民族文化や、日本における外国の文化のローカライズなどをとりあげ、多文化の混淆が、そもそも文化の創造のプロセスなのだと示している。
日本で揃う材料を使って他の国の料理を作ったり、ある言葉を別の言語へと翻訳する際には、必ずズレや摩擦が発生する。
本作では、このズレと摩擦に注目し、翻訳が失敗したり、相互に混ざり合ってしまうような状態に、文化の豊かさの源泉が見いだされている。
永田 康祐 | NAGATA Kosuke
1990年愛知県生まれ。神奈川を拠点に活動。
主な展覧会
『イート』 gallery αM/2020
『トランスレーションズ展 −「わかりあえなさ」をわかりあおう』21_21 DESIGN SIGHT/2020
『FALSE SPACES 虚現空間』トーキョーアーツアンドスペース/2019
『あいちトリエンナーレ2019:情の時代』愛知県美術館/2019
『オープンスペース2018:イン・トランジション』NTTインターコミュニケーションセンター/2018
『第10回恵比寿映像祭:インヴィジブル』東京都写真美術館/2018 など
主なテキスト
「Photoshop以降の写真作品:「写真装置」のソフトウェアについて」『インスタグラムと現代視覚文化論』所収/2018 など
参考作品
《 Translation Zone 》 映像 / 27分23秒 / 2019