日本においてやきものは哲学と同様の役割を持っている
内側に向いた美意識は時間を持たず
やきものを通じてアップロードされている
コードを入手出来た時やきものは言語を持たないよみものと化す
やきものを産地名で言い表した途端バイアスがかかり
つい窯の形状や表面的な自然釉などに気をとられがちになる
しかし本来、産地名は意識や考え方を指すものであろう
それを読み解く中で素材を選択する順番がくる
性質を読み違えてしまうと過去に縛られ続け
水準を越えることには繋がらない
私はまず方向性を変えた
「信楽」は民具でもなければ献上されるものでもない
”奉納”の感覚をもった特異なやきものだったと考える
要するに”意識が人に向いていない点”が重要である
意識が人に向いてつくられるようになって以降500年間
「信楽」の技術は読み解かれなかった
その技術はある水準を越えるためにある
と技術そのものが私に語りかける
水準を越えた時やきものは空間を蓄え時間を超える
ゆえに それらはここにあってここにはない
現今「信楽」は音のない音楽のようでありたい
谷 穹 | TANI Q
1977 滋賀県生まれ
2000 成安造形大学立体造形クラス卒業
2007 双胴式穴窯 築窯
2012 単室式穴窯 築窯
主な企画展
2024 「白と黒のシャープネス」/セイコーハウス銀座ホール(東京)
2023 「谷穹展」/板室温泉 大黒屋(栃木)
2022 「炎」/髙島屋日本橋 美術画廊(東京・大阪)
2021 「第15回パラミタ陶芸大賞展」/パラミタミュージアム(三重)
「No Man’s Land-陶芸の未来、未だ見ぬ地平の先-」/兵庫陶芸美術館(兵庫)
2020 「健在する日本の陶芸 ─不如意の先へ─」/益子陶芸美術館(栃木)
2019 「Air」/NOTA_SHOP(滋賀)
2018 「守破離」/堀尾貞治×越野潤×谷穹/ギャラリーあしやシューレ(兵庫)
2017 「泥仲間」/中ハシ克シゲ×谷穹/ギャラリーあしやシューレ(兵庫)
2016 「ロロ一ロロ」/ギャラリーあしやシューレ(兵庫)
2015 「LAND e SCAPE」/ギャラリーパルク(京都)
「これからの、未来の途中ー美術・工芸・デザインの新鋭11人展」/京都工芸繊維大学美術工芸資料館(京都)
「ロロ一ロロ」個展/京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(京都)
その他
2024「アフロ民藝」シアスターゲイツ展でのコラボレーション/森美術館(東京)
パブリックコレクション
ポートランド美術館(U.S.A)・兵庫陶芸美術館(兵庫)
参考作品
《信楽 蹲》 φ=19.2 H=18.8 / 2024
《おやつ》可変/2023
《おやつ》可変/2024