本展は、写真家・津田直が奥琵琶湖を舞台に制作した作品シリーズ「漕(Kogi)」の集大成とも言える個展となります。
「漕」は2005年晩夏、大阪の堺にある日本家屋(主水書房)にて個展として発表されて以来、多くの観客を魅了し、その後各地にて声援を受け、これまでにニューヨーク、パリ、東京、マイアミ、秋田、フランクフルトなど各都市にて展覧会を重ね、作品の主題でもある一艘の舟の漕ぎだしのように時を歩んできました。それは作家曰く、「舟は多くの漕ぎ手がかわるがわる導いてきたようなもの」とも語られます。そして2011年、秋季の訪れと共に作家によって漕ぎだされた舟は再び近江の地へと帰ってきます。過去の記憶や名を持たない確かな存在を現在に呼び戻し、我々に風景たちのまだ見ぬ先へと誘う津田の表現、その「生」を込める行為が空間に時間の層となって立ち現れることでしょう。
会場には写真作品をはじめ、写真を和紙に印刷し制作された掛軸、写真を近江雁皮紙で包み発表された作品などが展示され、作家の風景論を展開いたします。ぜひ、足をお運びいただき、佇む「移ろいの在処(ありか)」を探っていただければ幸いです。また、会期中には津田と親交の篤い華道家・片桐 功敦(主水書房主宰)を迎えて室礼(しつらい)、対談なども開催いたします。作品と共に片桐の生花が湖面に新たな揺らぎを映しだすことでしょう。
尚、本展を機に写真家・津田 直と近江学研究所は互いに協力し合い、近江の地域文化における更なるフィールドワークを将来へ向けて展開することを宣言します。それは新たな「旅」の始まりを意味しています。どうぞご期待ください。
SEIAN ARTS ATTENTION Vol.1 「SITE SITE SPECIFIC 近江の水・山・祈り」 津田 直「漕 ーそでの中の話ー」
会 期| | 2011年11月11日[金]—11月27日[日]12:00—18:00 |
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会 場| | 成安造形大学【キャンパスが美術館】
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