600 万年以上前、金星から地球に降り立ったとされる鞍馬寺の「魔王尊」にまつわる神話、そして現実世界がパラレルワールドとして展開されます。空想科学小説からミニマリズム。そして、映像、絵画、彫刻を通し、ギャラリー空間を観客が実体験するための映画の舞台につくり上げます。
More than six million years ago, Mao-son (the great king of the conquerors of evil and the spirit of the earth) descended upon Mt. Kurama from Venus. From science fiction to minimalism; video, paintings, sculptures are gathered to create an immersive experience in the gallery space.
アレクサンドル・モベールは、事物について徹底したリサーチを行うドキュメンタリーの手法を用いつつ、最終的には独自の物語へと編集することで、虚構と現実の間を探っている。手法は映画、映像、パフォーマンス、写真、絵画、インスタレーションと多岐に渡る。
本展では、既存作品に新作となる映像や絵画を加え、全体として京都の鞍馬寺に伝わる伝承に基づく「Trinity(三位一体)」として発表する。トリニティはキリスト教の概念の一つであるが、本展では鞍馬寺に600 万年以上前に金星から降り立ったとされる魔王尊、毘沙門天、千手観音の三神仏の三位一体や、宗教、社会、個人という概念を表している。映像作品ではこの三神仏が外国人として日本に暮らす設定の下、神仏なのに異様に人間らしい彼らが日本文化を分析し、その良し悪しを赤裸裸に語る。映像作品に加え、空港の手荷物用X 線検査機によってネガ・ポジが逆転した日本の風景写真や、パステル色を放つ大理石のオブジェ、墨を三度塗った上にアクリル絵の具を重ねた楽譜としての絵画などが展示される。本展はB 級映画的なフェイク・ドキュメンタリー、即興性を孕むフィクションを通じて、信じることの意味を私達に問いかける。