キャンパスが美術館

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  3. SEIAN ARTS ATTENTION 18 Chronoscape|蓄積された時間、継続する行為
Design|有佐 祐樹

展覧会概要

 

キャンパスが美術館は2025年に開館15周年を迎えました。2010年に開館して以降、スペースの変化を経ながらも、授業や学生主催の作品発表の場として、また地域交流の拠点として、現在に至るまでさまざまな展覧会を開催してきました。なかでも、セイアンアーツアテンションと題した展覧会では、その時々の「注目すべきテーマ」に基づいて卒業生や招聘アーティストの作品を紹介することで、鑑賞者に多様な視点を届けることを目指してきました。

開館15周年記念となる本年のセイアンアーツアテンションでは、これまでの歩みを振り返り、そしてこれからの美術館のあり方を考える機会として、「Chronoscape|蓄積された時間、継続する行為」と題した展覧会を開催します。「Chronos(クロノス)」は、ギリシャ神話に登場する時間の神であり、時計で計ることができる客観的な時間を意味します。「Chronoscape」とは、「Chronos(時間)」と風景を意味する「scape」を繋げた言葉で、「風景のように時間を眺める」ことをテーマにしています。

 

近年、私たちを取り巻く情報のスピードは加速度的に増しており、インターネットをはじめとする技術の進化によって、検索や移動にかかる時間は大幅に短縮されました。初めて作る料理も、読めない言語も、スマートフォンを使えばすぐに答えが見つかり、欲しいものはクリック一つで手に入る日常が当たり前になっています。さらには、AIの発展により、テキストや画像生成にとどまらない新たな可能性も拡がりつつあります。こうした技術は人類が積み重ねてきた知恵の産物であり、効率を追求することで、私たちの生活はますます便利になってきました。

しかし一方で、日々の「積み重ね」そのものに目を向けてみると、そこには結果よりも「過程」を大切にする視点が浮かび上がってきます。とくに勉学や制作活動など、自らの意思で継続する行為においては、一日一日の作業をどう進め、どのように積み上げていくかが非常に重要です。結果とは、その積み重ねの中から現れる一つの側面にすぎません。たとえ望んだ結果が得られなかったとしても、意思を持って続けた行為には確かな意味があり、ときに思いがけない出来事や新しい発見につながることがあります。それは、効率を求めるだけでは得られない「省略しえない行為の積み重ね」がもたらす価値なのではないでしょうか。

本展の出展作品は、いずれも行為の積み重ねを重視した手法で制作されています。一つ一つはシンプルな行為ですが、何百回、何千回と繰り返されることで時間が可視化され、風景のように立ち現れてきます。その様子は、作品の細部に宿る積み重ねられた過程の重要性に気づかせてくれるのではないでしょうか。積み重なった時間と行為から生み出される風景を、ぜひお楽しみください。

 

※セイアンアーツアテンションとは、現代において注目すべきテーマを設定した総合芸術祭であり、キャンパス内に所在する複数のギャラリーを舞台に開催しています。2011年春のVOL.0から、今回で19回目となります。また、本展は本学と本学同窓会(KAITSUBURI)との連携事業です。

 

 

出展作家

今井 祝雄 | IMAI Norio
金沢 寿美 | KANAZAWA Sumi
菊池 和晃 | KIKUCHI Kazuaki
麥生田 兵吾 | MUGYUDA Hyogo
山本 雄教 | YAMAMOTO Yukyo

展覧会詳細

2025 秋の芸術月間 セイアンアーツアテンション 18
Chronoscape | 蓄積された時間、継続する行為

会 期|2025年10月10日[金]—11月7日[金]11:00—17:00
休館日|日・月曜日
会 場|成安造形大学【キャンパスが美術館】
  • 01バスストップギャラリー
  • 02スパイラルギャラリー
  • 04ライトギャラリー
  • 05ギャラリーウインドウ
  • 06ギャラリーアートサイト
  • 07ギャラリーキューブ
  • 00コミュニティスペース「結」
主 催|成安造形大学、成安造形大学同窓会
*【キャンパスが美術館】における大学と同窓会との連携事業の第八弾です。
企画原案|キャンパスが美術館運営委員会
ディレクション|田中 真吾(成安造形大学 専任職員 / キャンパスが美術館学芸員)
展示コーディネート|藤木 菜々子(成安造形大学 臨時職員 / キャンパスが美術館学芸員)
デザイン|有佐 祐樹
会場撮影|
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