2022年6月3日[金]—7月2日[土]
06ギャラリーアートサイト
円山応挙筆《紙本墨画寒山拾得図屏風 6曲1双》
円山応挙(1733年〜1795年)は丹波国(現在の京都府亀岡市)に生まれ、石田幽汀に就いて狩野派を学んだ後、滋賀三井寺の円満院門主祐常の知遇を得て新しい写生画法に目覚める。かれは、ヨーロッパ絵画の自然主義的な手法-対象の両面・立体的把握や透視画法による写実的再現-に示唆を受け、これを中国画の写実手法や日本の装飾画法と折衷させて、明快な写実的画風を完成させた。
本作《紙本墨画寒山拾得図屏風 6曲1双》は応挙37歳(1769年)、三井寺円満院滞在中の作品とみられる。主題である寒山と拾得は、ともに中国唐時代に天台山国清寺付近にいたとされる人物である。身なりや行動がはなはだ奇矯だったことから、禅宗では「脱俗者」「悟道者」とみなして深く尊崇し、水墨画の好画題となった。
寒山拾得図屏風 模写作品
《紙本墨画寒山拾得図屏風 6曲1双》を美しく保存しようと、日本画クラスの学生らによる復元プロジェクトが発足。大野俊明先生(京都成安学園 特別顧問、成安造形大学 名誉教授)の指導を受けつつ2005年から制作をおこない、2007年に完成に至る。
成安造形大学収蔵作品《寄贈浮世絵コレクション》
成安造形大学が収蔵する浮世絵コレクションは七三件(九一点)に及び、近江八景や東海道の宿場町、大津絵など近江をモチーフとした作品を主体としている。このなかには浮世絵版画のみならず近江八景図の版画四点や、浮世絵以外に、琵琶湖畔を描いた泥絵一点も含んでいる。画家はすべて江戸時代末期から明治時代にかけて、江戸、東京で活躍した浮世絵師である。
本展で展示している栄松斎長喜の〈近江八景〉版木四点はいずれも片面彫りで、円窓内に八景のうちの一景を彫出し、その上下に近衛信尹(あるいは近衛政家)作と伝える和歌を添えたものである。版木としての役割を終えたのち、一時火鉢の側板として再利用されていたため、現状では釘穴が認められる。(成安造形大学附属近江学研究所 紀要 第1号 小嵜善通著『成安造形大学収蔵「浮世絵コレクション」』より抜粋)
栄松斎長喜(生没年不詳) 鳥山石燕の門人で歌麿と同門。 作画時期は宝暦(1751〜1764年)から寛政(1789〜1801年)年間に亘る。