セクション1では、20世紀から現代までのモダン・アートの足跡を「色」と「かたち」(色彩と形態)という観点から探っていきます。
なぜ「色」と「かたち」なのでしょうか。モダン・アートの“色彩”は、蛍光染料やアクリル絵具などの発明、光学や知覚心理学を踏まえた近代色彩論の確立など、近代科学の発展抜きには登場し得ませんでした。これは、人類の美術史の中でモダン・アートのみが新規に切り拓いた新しい領域です。モダニズムの色彩感覚は、今やアートの分野を超えて、現代に生きるわたし達の生活の中に深く溶け込んでいます。
モダン・アートの“形態”には、見たままをそっくりに描くという具象的、写実的な描写を離れて、純粋な「かたち」そのものがもつ視覚的・心理的効果を追求するような、抽象化されたりデフォルメされたりした表現が登場します。