成安造形大学「キャンパスが美術館」におきまして、成安造形大学美術領域教授の西久松吉雄先生の「退任記念展 西久松吉雄ー地のかたち」を、そしてあわせまして「本画卒業生展」を開催する運びとなりましたので、ここに謹んでご案内させていただきます。
西久松吉雄先生は、1998年より成安造形大学において教鞭をとられ、2018年3月までの20年間の永きにわたって日本画分野の学生指導に尽くされました。先生の誠実で暖かいお人柄と幾多の制作実践から得られた深い教養により、数多くの学生が素晴らしき薫陶を受けたことと思います。また先生は大学運営におきましても学長補佐、附属近江学研究所所長をはじめ数々の要職を歴任されるなど、大きな貢献をなさいました。
画家としては大学卒業以来、創画会を中心として旺盛な創作活動を続けて来られ、多くの受賞を重ねられると共に、京都国立近代美術館をはじめ多くの美術館にパブリックコレクションとして作品が収蔵されるなど、高い社会的評価を確立されています。
先生の作品は、日本の風土に重層している大切な記憶を、できるだけ鮮烈に見る者に伝えようとする気迫に満ちており、その力強くスケールの大きい画風は、揺るぎない一貫性を持って日々研鑽してこられたその積み重ねがなせる技だと感じさせます。日本画の伝統や技術をしっかりと継承しながらも、他に類を見ない独創性のある表現にまで到達されていると思われます。今回は、先生の近年の活動を回顧するべく大型作品約10点による展覧会となります。新たな日本画の境地を切り開く画家、西久松吉雄先生の世界をお楽しみください。
また同時開催として、成安造形大学日本画コース卒業生から、西久松先生とゆかりの深い作家たち12名によるグループ展を開催いたします。近年活躍が目覚ましいこれらの卒業生の作品にもご注目をいただければ幸いです。
良き指導者であり、また優れた画家である西久松吉雄先生に対する尊敬と感謝の気持ちを込めて、そしてまた先生の画家としてのますますの発展を祈念しつつ、退任に際してこのような展覧会が催せますことを大変うれしく思います。
何卒、成安造形大学に足をお運びいただき、ご高覧いただけますよう心よりお願い申し上げます。
成安造形大学 学長 岡田修二